by axxxm
28/May/2024 in Tokyo
本を書く理由:
「自分の気持ちを代弁してくれた」という瞬間をできるだけ多く、できるだけ深く味わいたいから。
本を読む喜びを何よりも感じるのは、「これこそまさに自分が思っていたことだ」という文章に出くわしたときである。
自分の中でたしかに感じていながらも、うまく言葉にできなかったこと。
漂っていた気体が瞬間的に凍結して固体と化し、目に見えるようになること。
こころの中の霧が晴れた瞬間。
これは同時に、自分と同じ考え方や感じ方をする人に(本を通じて)出会えた喜びでもある。
このような喜びを味わえる機会はそんなに多くない。
私たちが出会う本の多くは、新しい知識を授けてくれたり、一時的な現実逃避を許してくれたりするものが大半で、「自分の心境を代弁してくれた」とまで思える本は少ない。
しかし実は「これこそ、まさに自分が思っていたことだ」という体験を、1ページ目から最後まで全編に渡って、より多く、より深く味わう方法がある。
自分で本を書き、自分で読むこと。
書き手は自分自身なのだから、この世の誰が書いたものよりも温度、リズム、手触りは馴染みのあるものになる。