by axxxm
10/August/2025 in Kraków
先日、Kazimierz地区のザピエカンカ・ショップの並ぶ広場(plac Nowy)から通りに入り、先の方を眺めたとき、「・・・ここには何もない。記憶もなければ何もない」という、三島由紀夫の最後の小説の最終ページの文章が突然浮かんできた。
「・・・これと言って奇巧のない、閑雅な、明るくひらいた御庭である。数珠を繰るような蝉の声がここを領している。そのほかには何一つ音とてなく、寂莫を極めている。この庭には何もない。記憶もなければ何もないところへ、自分は来てしまったと本多は思った。庭は夏の日ざかりの日を浴びてしんとしている。・・・・・・」
—三島由紀夫『天人五衰』
なぜ突然、こんなことを思ったのか。しかし実際そうなのである。この国にも、この街にも、「つながり」「縁(えにし)」「必然」は何もないのである。それがあるのはここではなく、日本なのだ。