あの人のこと

7/April/2024

Date: Monday, 30 Jun 2014, 21:22:46 +0100
Subject:
From: abc@gmail.com
To: xyz@hotmail.co.jp

清春に関しては、知ってると思うけど、ずっと長い間彼のことを信仰してた。本当にteenagerの俺を精神的に彼は啓発していた。2003年の夏から。ずっとリリースするものは買ってた。ただ偶然色々あって彼から興味が薄れたんだよね。色々、っていうのは、2010年に彼がSadsと黒夢っていう、かつてやっていたバンドを復活させたんだ。彼なりの理由がそこにはあったんだけど、やっぱ黒夢、Sads、ソロと来て、ソロが一番音楽的に成熟していて、聴かせる曲が多かったから、バンドっていう「激しい方」に重点を置いたものをやることに興味が湧かなかった。俺がファンになった時は偶然にも彼がソロデビューした時で、ソロの曲をリアルタイムで聴いていたっていうのもある。あと、彼の発言のlack of continuityはずっと気になってはいたけど、バンドを復活させるって言うある意味の禁じ手をしてしまったことも、興味が冷める一つの要因だった。まあ、本当、そこには彼なりの思い、亡くなったある人との約束があったんだけど、そこに共感できない自分もいたことは事実。

以上は彼側から来た事情な訳だけど、やっぱそれよりも興味が冷めた一番の原因だと思うのは、結局俺が自分の「人生」について考えはじめたからだね。2010年っていうのは公務員試験にむけてやってきて、そこから180度方向転換して.....っていう一番の転換期の渦中で、音楽、もっと言ってしまえば「娯楽」に強い興味が持てなかった。彼の音源はリリースすれば聴くようにしていたけど、そこまで熱くなれない自分がいた。あんなにも共感して、時には涙して、のめり込んでいた過去のソロの曲にもね。

ただ今年になって、exと別れた4月あたりから、彼の曲が自分の中ですごい響きはじめたんだよね。世間におけるイメージやビジュアルとは違って、以前から彼の歌詞はすごい繊細だと思っていたけれど、彼の歌詞の美しさ、曲の美しさ、彼の思い、曲の強さというものをまた再び、より一層強く感じられるようになってきたんだ。言うなれば、「再発見」。ある意味、これがexと別れて手にしたものだと思うね。彼がいつか言っていた『何かを得れば何かを失うし、何かを失えば、何かを得るし』っていう発言の通りのことが起きたと思う。本当、彼の曲は美しいと思う。

本当にレアなんだけど、時々不思議な体験をするんだ。彼の曲を聴いてる時に、彼の曲と俺の目の前の現実/環境が一体になるような感覚。そうなると、もうその曲は、自分の中で大事なものになる。言ってしまえば、他人の作った『曲』に過ぎなかったものが、実感を伴った『体験』に変化するというか。実は昨日、suburbを夕暮れのなか散歩していたんだけど、その時にそういう体験をした。結構ひさしぶりだったかな。本当、それは10秒ぐらいだったけど。時にもっと長いこともある。

彼の曲の一節に『孤独だって話題避けていたね』っていうのがあるんだけど、その影響なのか最近、『孤独』って言葉にすごい、共感....ではないけれど、何か考えちゃうものがある。セントラルの人ごみのなかを歩いていて、『ああ、この人たち、一見、普通な感じに見えたり、怒っているように見えたり、笑い合ったり、幸福そうに見えたり、何も感じていないように見えたりするけど、みんなみんな、心に感じやすいところがあって、大なり小なり孤独を抱えているんだろうな。それを誰かと分かち合ったり、自分一人で抱えていたりしてるんだろうなぁ』って思って、何か人間のこころの深さ、偉大さを垣間見た気分になった。