不安は饒舌にする

2/June/2024 in Tokyo

同じモチーフについて日本語と英語で書いたとき、私は英語の方が文章が長くなる。

不安だから。

たとえば次のふたつ。


(*日本語)

曇った日が好きだ

空に奥ゆきがあって
メランコリックで
曖昧さを許してくれて

晴れた日は平坦だ


(*英語)

Cloudy day

sky has
more depth

sky is
more melancholic

& sky forgives me
to be vague & ambiguous

Sunny day
too flat, too judgemental, too forceful


最後の箇所には不安がとくに出ている。

日本語では「晴れた日は平坦だ」となっているのが、英語では「平坦」をあらわす「flat」のあと、さらに「too judgemental, too forceful」と続く。念押しのように。

これが英語で書くときの不安である。

ある言葉のもつゆらぎ、ある言葉の持つ意味、ある言葉がカバーしている守備範囲……つまり「言葉のニュアンス」というものに確証がもてず不安だから、似たような単語をつなげて念押ししてしまう。