魅了の深まるとき

22/August/2023 in Krakow

*English ver

最近、不思議な体験を二回した。

「いま、私はこの人に一歩深く魅了された」と、はっきりとこころの動きを感じたこと。

「魅了」とは普通、ある一定の時間の中でズブズブと無意識に深まっていくものだが、時計の針がゼロを指す瞬間を見るように、私がその人に抱く感情が、いまこの瞬間たしかに一歩深まったとはっきり認識できたのである。


この体験は二回とも、アート関係のことをしている女性二人との間に起きた。

彼女らの作品に触れたときだった。

例えば、ひとりの女性が山と森を描いた絵を見せてくれたときのこと。

青の色の美しい絵。

もし美術館で目にしたなら、足を止めてしばらく眺めていたいと思える絵。

絵を見、その美しさを見たとき、その制作者である私のとなりに座る女性、手を伸ばせばとどく範囲にいる女性、しばらく話をしてある程度最初の印象の固まった女性の、それまで見えなかった新しい側面が突然目の前に開かれたように感じたのだった。

それは「こんな美しいもの、こんな魅力を持ったものを作れる人とはすなわち、その人本人も美しく、魅力的なはずだ」という推測へ流れついて、その女性の輝きが一段高まったように見えたのである。

それまで、彼女の容姿や性格や特別に魅せられていたわけでもないのに、その瞬間、彼女への関心が、つまり彼女へ魅了される度合いが、突如として一歩深まったとはっきり自分のうちに感じたのだった。