『完璧主義者』という若者

10/June/2023 in Tokyo

*English ver

完璧主義者とは若者の特権であろう。

かつては私自身完璧主義者で、そしてそれゆえに苦しめられていたからわかるが、完璧主義者のいう「完璧」とは往々にして社会や世間のいう「こうすべき」「こうあるべき」と合致している。

若者は人生経験が少ないのだから、環境のいうことを信じてしまうのは自然なことだ。

しかし年を重ね、自分自身のものの見方ができてくると、世の中は「すべきこと」や「すべきではないこと」とかいう原則論では動いていないことがわかってくる。

いやむしろこういうべきなのかもしれない。

年を重ねる中で、「すべきこと」から逸脱して「すべきではないこと」を犯す場面に何度も遭遇し、そして犯してもなにも異常は起きないばかりか、むしろ「すべきではないこと」の中にこそ自分に合うものがあるのを知ってしまったために、かつて従っていた価値観を軽蔑するようになったと。

そして完璧主義者には実は2種類あるのがわかってくる。

ひとつは社会の価値観を信じている人。「完璧」の基準が外にある人たちで、世にいう「完璧主義者」の大半はこれである。

もうひとつは自分の中に「完璧」の基準がある人。職業上のこだわりの強い人や、アーティストと呼ばれる人たちである。

当然ひとつめの完璧主義者は、平凡で、自分の頭で考えていないロボットで、自分を世間の基準でがんじがらめにして苦しめているサディストで、そしてたまらなく退屈な人である。