by axxxm
11/May/2024 in Tokyo
日本人の99.9パーセントは「詩」というものに苦手意識をもっているだろう。
安易に学校教育の責任に帰することは好ましく思わないが、しかし私自身の経験として、詩に苦手意識を持つ最大の理由は国語の授業であったことは確かである。
「馴染みにくい」「意味がわかりにくい」、そして「難しい」というネガティブなイメージを詩に持っていた。
いま「持っていた」と過去形で書いたが、実は今も馴染みにくい印象を持っている。
つらつらと考えれば理由は次のようなものであろう。
詩はその作者のことを知らないと読みにくいから。
たとえば歌なら、「詩」だけでなく「メロディ」という構成要素がある。
そのため、最初にメロディを心地よく思って聞いていた人が、そのあと詩へと目を移していく可能性がある。
また散文形式の随筆や小説なら、作者を知らなくてもその本が扱っているテーマが入り口となり得る。
「イギリス人の心理について」「日露戦争について」といった本の扱うテーマが「エサ」となり入り口となって、私たちを内部にまで導くのである。
しかしこれが詩だと、入り口がほとんどない。
さらに詩は、言葉だけから、しかも最小限の言葉だけから作られているので、「詩を読む = 作者の声をダイレクトに聞く」という印象を運んでくる。
しかし私を含め多くの人は、知らない人の話を聞く暇もなければ、そもそも聞きたいとも思っていないのである。