夜に手紙を書くこと

11/December/2023 in Tokyo

*English ver

「夜書いた手紙は、朝読み返せ」という教えの意味。

それは「夜は興奮状態にあって思いもよらないことを書いてあるかもしれないから、時間を空けた翌日の朝、落ち着いた気持ちで読み直して修正せよ」という意味である。

ところでそうやって朝書き直したものが、果たして夜に書いた手紙よりも「より良い」とか「より正しい」ものになるのであろうか

たしかに、一気呵成に書いたものを読み直して落ち着いた頭で修正をすれば、後々読み返したときに恥ずかしさを感じる可能性は下がるであろう。

しかし落ち着いた頭で、つまり論理を優先させた状態で、「恥ずかしくないように」とか「読み手にどう見えるか」とかいった視点から手を加えることには、あの卑しい、あの自己保身にまみれた、あの醜い自意識の臭気を感じる。

感情のままに書いたもの。

書いた時点での「真実」をそのままに映し取ったもの。

彼の人生において、その一瞬にしか感じ取れない感情を、その一瞬にしか表現できないことを形にしたもの。

そのような手紙こそ、私は真の手紙であると考えるのである