真実と感情

11/December/2023 in Tokyo

*English ver

自分の意見を述べることを、次のような不安からためらう人は多い。

「明日になったら変わってるかもしれない」

「明日」を、「来週」でも「来年」でも「10年後」に変えても、結局言っていることは、一度でも自分の意見や感情を表明したら、それを変えるべきではないと思っているのである

実に真面目な心がけである。私も若い頃はそう思っていた。

しかし年齢を重ねる中で、世の中には、そして人間の中には、「変わらないこと」よりも「変わること」の方がはるかに多く、「変わる」という状態こそが実は常態なのだと知り始めた。

あるいは、「変わること」ということを自分の中で受け入れられるようになってきたというべきかもしれない。

こうなってくると、「変わること」に対する態度が根本的に変わってくる。

「この感情が明日変わってしまうなら、この感情が今しか感じられないものなら、今のうちに十分味わっておきたい。今のうちに表現しておきたい」と。

「真実」というものは、雨嵐にも時間にもぴくりともしない不動なものの中にあるのではなく、とめどなく流れては去っていくこの「瞬間」というものの中にこそ存在しているのではなかろうか、と感じるようになってきた。

とめどなく流れては去っていく、このつかみどころのないもの。「瞬間」と呼ばれるもの。

そしてその中に存在するもの。その中にだけ存在できるもの。

「真実」とは、「感情」とは、そのようなものであろう。